本SSはリトルバスターズ!のネタバレを含んでいるため、オールクリア後に読むことをお勧めします。
本編未クリアの方やネタバレを嫌う方はこのまま戻ることをお勧めします。




リトルバスターズ小毬SS
星に願いを

ガコンッ!!
屋上へと続く階段の踊り場の窓を抉じ開けると、目の前に人一人がやっと通れる位のスペースが現れた。
「よっと…」

僕が屋上に侵入し、制服に付いた汚れを掃っていると、背後から助けを求める声が聞こえてきた。

「助けて〜理樹く〜ん…」
僕が振り返ると、窓の枠の所で小毬さんが脱出を試みようともがいていた。
頭から腕までを出してじたばたする姿は何処か蜂蜜好きの某くまさんを連想させた。

「ぷっ…」
僕はその微笑ましい光景に思わず噴出してしまう。

「ふえ〜ん、笑ってないで助けてよ〜」
それを見て僕はすぐに小毬さんの救出に向かった。
「ほら、小毬さん、掴まって」
僕が手を差し出すとそれに応えるように手が握られる。
屋上の夜空に冷やされた僕の手に小毬さんの暖かさがじんわりと広がっていった。

「それじゃあ引っ張るね」
「いいよ〜」
僕の言葉を合図に小毬さんの身体が屋上に引っ張りだされる。
少しの格闘を経てついに僕らは屋上への侵入(?)を果たす。

「ありがとう理樹く〜ん」
小毬さんがほんわかした笑顔を浮かべてお礼を言う。
それにつられて僕も笑顔を浮かべる。ころころ変わる小毬さんの表情を見ていると僕も幸せな気分になってくる。
これも小毬さんの言う幸せスパイラルなんだろうか?そんなことを胸中で思っていると屋上に風が吹きぬけた。

「う〜…寒いね、理樹くん」
小毬さんが両手で身体を抱きながら震えている。無理もない、初夏とは言え夜の屋上はまだまだ堪える。

「大丈夫、小毬さん?」
「平気だよ〜、それに今日は流れ星がよく見えそうだからね」
小毬さんはそう言うと一人、空を仰いだ。雲がほとんどない夜空では星たちが謙虚に自分の存在をアピールしていた。

確かにこれなら流れ星も見れそうだ。そもそも僕らが今屋上に来ているのは、大分前に小毬さんと約束した天体観測のためだったりする。

「理樹く〜んこっちこっち!!」
寒さから立ち直った小毬さんが手を振り僕を呼ぶ。いつの間にやら昼休みに使う僕らの定位置で天体観測の準備に移っていた。
といっても道具を使う本格的な物ではないので、シートを敷いたりするくらいだけど。僕はすぐに小毬さんのもとへ向かう。

「流れ星来ないねえ……」
小毬さんがため息とともに漏らす。僕らが天体観測を始めて大分たった。
現在の時間は分からないが、吹き付ける風の冷たさが夜遅くであることを物語っていた。その表情からは落胆の色が見え隠れしていた。

「きっともうすぐ見られるよ」
僕はなんとなしに小毬さんを励ますが、その言葉に自信を持っていた。安易な慰めではなく、必ず見られると確信していた。
僕自身なんでそんなことを思ったのかは分からなかったが…しかし、小毬さんは僕の言葉で元気を取り戻したようで、またいつもの笑顔に戻っていた。

そんな風に待っていると、星空の彼方から一筋の光が現れた。
それは淡い明かりを宿しながら弧を描くように落ちていった。
「小毬さん、あれっ!!」

”それ”の存在に気づいた僕はすかさず小毬さんに知らせる。
しかし、流れ星が見えたのは一瞬だったため、小毬さんの視界に収まる前に深い闇の中へ吸い込まれていった。

「小毬さん、そんな気を落とさないでよ」
小毬さんは流れ星を見逃したことを残念がっていた。
その傍らで僕は小毬さんを励ますように声をかける。

「あ〜あ……」
けれど、その言葉は何処まで通じたのだろうか?小毬さんは今だに上の空だった。

「ねえ、理樹くん…」
上の空のまま小毬さんが問いかけてくる。
「理樹くんはどんな願い事をしようとしてたの?」

それは至って普通の、星を見に来たのなら必ず考えると言っていい事柄だった。
なので僕はあまり考えずに答えを出すことが出来た。

「こんな日がいつまでも続きますように、かな…」
鈴や恭介、真人に謙吾、それに小毬さんやクドといったリトルバスターズの皆と騒がしい日常を過ごしていたい。それは僕の偽らざる本音であり希望だ。

「そう……」
小毬さんは目を伏せ、何故か寂しそうに返事をした。
「ねえ…理樹くん…」
そしてそのまま僕に問いかける

「ここに来たのは何回目?いつまで立ち止まっているの?」
「え……?」
その瞬間、僕の意識が闇に飲まれだした。
それをいつものナルコレプシーだと理解すると同時に僕の意識は星空よりも暗い真っ暗闇に放り出された。
小毬さんの言ったことを理解するよりも前に…


仮初めでもいい、例え叶わなくとも。途中で途切れてもいい。
それで私の大切な人が乗り越えられるなら…
ねえ、理樹くん、早く前に進んでよ。
私たちがまたいつも通りに笑えるように……


あとがき

キングクリムゾン!!(謎
おかしいなあ…夏コミが終わって1週間以上経つのにその間更新らしい更新が皆無とは…
全部リトバスEXとプロスピ5が…クソッ!!クソッ!!

はい、失礼しました。
今回は小毬ルートでの天体観測で書いてみました。
世界の秘密、つまり、リトバスでなんで小毬だけ他のヒロインと違い何度もクリア出来るのか。
その辺にスポットを当てて、理樹は世界の秘密を知って尚、虚構の世界に居続けようよして困った小毬が…
という話にしてみたのですが、私の力量不足がにじみ出てますなこりゃ。

もっと上手い文章を書けるようになりたいです。
では今回はこの辺で。


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